【男子バスケットボール】【男子バスケットボール】石川航大「迷わずに打った」3ポイントシュートは4年間の努力の賜物

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22試合、約2か月半に及ぶ長いリーグ戦が幕を閉じた。青学は主力選手のけが、台風延期による過密日程を乗り越え、ここ数年で最高の成績を残した。

荒波を乗り越え、最終戦に臨む戦士たちを待ち受けていたのは63秒の“ご褒美”だった。

4年生、初のon5

最終節、対日大。正確にはその前夜に“舞台作り”は動き出していた。「石川(航大)をベンチに入れてくれませんか?」納見悠仁主将ら4年生が廣瀬昌也HCに直訴。ここまで、ベンチ外ながらも腐らずにコートに声を送り続けた背番号8が初めてリーグ戦のアクティブメンバーに名を連ねた。

ここまで、その席は2年生、佐野龍之介のものだった。チームのムードメーカーとして、誰よりも声を出し、練習でも全く手を抜かないハードワーカーで、廣瀬HCからの信頼も厚い。そんな佐野も石川のベンチ入りを快諾。こうして舞台は整った。

5人の4年生が初めて同時にコートに立った

最終戦とはいえ、勝敗次第で順位の変動が起こりうる重要な一戦だ。廣瀬HCは試合前「残り3分30点差以上つけないと(石川を)出さない」と選手たちにハッパをかけた。気負いからか試合は入りが硬く、青学はなかなか主導権を奪えずにいた。しかし、後半に入ると「ディフェンスの強度」を哲学に掲げる青学が本領発揮。日大のターンオーバーを誘発し、ブレイクからの得点を連発。試合の流れを手繰り寄せた。

そして第4Q、その瞬間はやってきた。残り1分03秒で石川が、同じ4年生の伊森響一郎、ウィタカケンタとともにコートイン。納見主将、ナナーダニエル弾と合わせ、4年間で初めての「同期on5」が実現した。ハドルの中では「(出してくれて)ありがとう」「なんでもいいからシュート打て」といった言葉が交わされた。

日大の選手の協力もあり残り8秒でフロントコートからのスローインを得ると、ボールは納見主将から石川へ、迷わずに放った放物線は万感の思いを乗せ、まっすぐにリングに吸い込まれた。ベンチ、応援席、スタンドがひとつになった瞬間だった。

一瞬のチャンスをしっかりと決めた

内部進学から青学バスケ部へ、異色の経歴

石川は青山学院の中等部、高等部を経て青山学院大学の門を叩いた生粋の「青学男子」だ。ほとんどの選手がスポーツ推薦で門を叩く青学大バスケ部において、内部進学から入部した石川は異色の存在だった。そして、少数精鋭を誇る大学バスケ界の名門において石川が試合に出れる保証はなかった。廣瀬HCは「素人同然だった」という石川に「お前は4年間出れないかもしれないよ。それでもいいのか?」と声をかけた。

「4年間選手として全うする」石川の決意は固かった。マネージャーへの転向も固辞し、日本一厳しい、と称されることも多い青学の練習に食らいついた。出場機会をなかなか得られず「辛い部分もあった」と振り返ったが、「最後までやり切りたい」という強い想いが原動力となった。そんな頑張りがあったからこそ、リーグ戦の最後に同期や後輩たちが晴れ舞台を用意してくれたのだ。そして、そのチャンスを決めきった力は積み重ねた練習、シューティングの賜物だ。

試合後、石川の目には光るものがあった

冒頭にも記したように、青学は今季のリーグ戦において近年最高の準優勝という好成績を収めた。4年生が緑のユニフォームで戦う最後の一カ月はその「準」を取り除き、3年前の新人戦以来の栄冠を奪いに行く戦いだ。青学は、リーグ戦優勝の大東文化大をはじめ、全チームから星を奪っており、優勝のチャンスは十二分にある。ここで確かめられたチームの結束を糧に、頂点へ突き進む。(写真・記事=竹石季緒)