【硬式野球】打線奮起も守備で精彩を欠き大量失点…乱打戦を制することができず敗戦

硬式野球

東都大学野球野球 春季1部リーグ 対中大 最下位決定戦 5月26日 於・明治神宮野球場

◆結果◆
青学大 014 000 001|6
中 大 070 010 10 X|9

◆出場選手◆
1 中 中島大輔 龍谷大平安
2 三 佐々木泰 県岐阜商業
3 二 山田拓也 東海大相模
4 一 田野孔誠 聖光学院
5 左 山中稜真 木更津総合
6 右 大手晴 横浜
7 指 小田康一郎 中京
8 遊 手塚悠 常総学院→片山昂星 東海大菅生
9 捕 青木颯汰 聖望学園→小鷹葵 中越→佐藤英雄 日大三
P 北村智紀 龍谷大平安→秋山功太郎 広陵→児玉悠紀 日大三→金城伶於 神村学園→下村海翔 九州国際大附


勝てば入れ替え戦回避が決定する、最下位決定戦2戦目。勝利をものにしたかった青学大だったが、猛攻叶わず敗戦を喫した。

先発のマウンドに上がったのは1戦目に続き北村智紀(総4)。立ち上がり落ち着いた投球で中大打線を三者凡退に抑えた。

立ち上がり落ち着いた投球を見せた北村

試合は序盤から動きを見せる。2回表、山中稜真(社4)がセンターへのヒットで出塁し、続く大手晴(文2)が四球を受けると一死一、二塁のチャンスを迎えた。打席には、今季大活躍のルーキー小田康一郎(文1)。センターへのタイムリーヒットを放ち、青学大は1点の先制に成功。止まらない小田の勢いに乗って、流れは青学大が掌握したかのように思われた。

2回表ヒットを放った山中

2回表タイムリーを放ちガッツポーズを決める小田

しかしその裏、北村から初回の落ち着きが消えていた。
今季、外野手部門のベストナインを満票受賞した中大・森下に四球を与えると、続くバッターの犠打を北村が捕球エラーし二者連続出塁を許す。後続に犠打を決められ一死二、三塁のピンチを背負うと、中大・石井にタイムリーヒットを浴びて1失点。続く打者のスクイズも捕球エラーしてさらに1点を失い、リードを守り切ることができずにマウンドを降りる結果となった。
北村の状態について、安藤寧則監督は「こういうリーグ戦、ましてやプレーオフの中で、同じ球数を投げていたとしても全く疲労度は違うと思う。疲労の蓄積もあっただろうし背負うものが違うので状態が良かったとは言えないが、信頼しているピッチャーでもあり、かつ選択肢として北村に託した。」と話した。

2回裏逆転を許した北村

北村に代わって登板した秋山功太郎(営3)も精彩さを欠く投球を見せ、継投が裏目に出る結果となった。いきなり四球を与え一死満塁のピンチを迎えると、中大・繁永に走者一掃のタイムリー3ベースヒットを放たれ一挙3失点。さらに、中大・北村には2ランホームランを浴びて2失点。青学大はこの回7点を失い、6点差を追いかける展開となった。

2回表2ランホームランを浴びる秋山

3回表、反撃の口火を切ったのは中島大輔(総3)だった。レフトへのヒットを放ち、続く佐々木泰(コ2)がサードへのヒット、山田拓也(済4)がファーストへのヒットを放ち無死満塁のチャンスを作ると、4番田野孔誠(コ4)の打席間に相手の暴投で1点獲得。さらに、田野のセカンドゴロで1点追加。続く山中稜真(社4)はタイムリー2ベースヒットを放ち1点獲得。大手晴(文2)も犠飛を放って1得点。青学大は、この回打線のつながりで猛攻し、一挙4点を獲得。両者の負けられない意地と意地のぶつかり合いは、乱打戦へと導いた。

3回表ヒットを放った中島

3回表ヒットで出塁しガッツポーズを見せる佐々木

3回表ホームに生還する中島

5回裏、2回途中からマウンドに上がっていた児玉悠紀(コ2)は先頭打者に四球を与えると、中大・森下の打席間のパスボールとセンターへのヒットで進塁を許し、一死三塁のピンチを迎えた。ここで、児玉から金城伶於(文4)への継投策を取った青学大であったが、またしても策はハマらなかった。一死三塁のピンチでマウンドに上がった金城は、続くバッターに犠飛を浴び1失点。立ち上がりの不安定な投球を中大打線は逃さなかった。

5回裏ピンチを招く児玉

7回裏には、中大・中前にライトへのヒットを浴びて出塁を許すと、打ち取った当たりを3塁手佐々木が送球エラーし続くバッターも出塁。さらに後続に死球を与えて一死満塁のピンチを招くと、中大・高橋にライトへのタイムリーヒットを許し1失点。ここでピッチャーは金城から下村海翔(コ3)に交代した。

7回裏失点を許した金城

代わってマウンドに上がった下村は、7回途中と8回裏を安定したピッチングで無失点に抑え中大打線を封じ込めた。またこの日は自己最速の151キロも計測し、青学大に反撃の流れを引き寄せる素晴らしい投球を見せた。

自己最速151キロを記録した下村

9回表、最低限同点まで追いつきたい青学大は、下村の素晴らしいピッチングに触発されたかのように闘志あふれる姿をチーム全体で見せた。代打出場の片山昂星(総4)がサードへのヒットで出塁すると、途中出場していた佐藤英雄(文3)の打席間の相手の暴投で進塁し無死二塁のチャンスを迎える。佐藤はレフトへのタイムリーヒットを放ち1点追加。自分たちの手で勝利をつかみ取りたいという思いが青学大チーム全体を盛り上げた。

9回表代打で出塁した片山

9回裏タイムリーを放った佐藤(英)

9回表の流れは完全に青学大のものであるように思われた。しかし、後がない中大バッテリーの意地が青学大を苦しめる。中島が2ベースヒットを放ち、続く佐々木が四球を受け無死満塁のチャンスを迎えると、打席には主将の山田が入りベンチはこの日一番の盛り上がりを見せていた。しかし、山田はセカンドライナーに倒れ、続く田野はセカンドゴロ。この日猛打賞の山中も空振り三振に倒れゲームセット。今季を通して苦しめられた「あと一本」がこの試合でも出ず、入れ替え戦回避を決めることはできなかった。

9回表死球を受けガッツポーズを見せる佐々木

9回裏三振に倒れその場にうずくまる山中

試合後、安藤監督は「(1部昇格時も他チームの試合結果で昇格が決まったので)自分たちでまだ一勝を掴んだことがないという認識なので、今日この一戦にかけて一勝を掴み取りたかった。」と話した。「プレッシャーがこれだけかかる中で、思うように力が出せていないというのもある。」「野手のほうはプラスしかないので。ピッチャーで挙げればマイナスしかない。」「(ピッチャーについて)ここまで来たら本人が乗り越えてくれないとというところはすごく感じている。自分で超えないとここから先はないと考えさせられているし、考えている。」と今後の課題を口にした。

試合前ノッカーを務める安藤監督

大事なところで決めきれない、あと一歩踏ん張れない、安藤監督の述べる「一勝」が遠い青学大。個々の実力は申し分ないにもかかわらず勝利が遠ざかっている現状には、選手たちも歯がゆい思いをしていることだろう。特に今日の試合は、エラーなど守備の乱れも重なって悔しい試合内容となった。しかし、試合全体を通してベンチから活発に声が出ていたほか、出場している選手たちも気迫のプレーを見せていた。チーム全体での「必死さ」は十分に感じられる試合であったのではないだろうか。残されたやるべきことは、その勝利への必死な思いを形にするだけである。プレッシャーを跳ね除け、投打で魅せる野球で勝利する姿に期待したい。
次戦は6月1日10時からUDトラックス上尾スタジアムにて最下位決定戦対日大戦が行われる。
3校にとって入れ替え戦回避をかけた大事な戦いとなるため、白熱した試合展開が予想される。ついに「一勝」を掴み取ることができるのか、青学大の戦いに注目だ。
(記事=川﨑史緒、写真=川﨑史緒)

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